【Web小説】#RTした人の小説を読みに行く で読んだ感想

Twitterでひょんなことから#RTした人の小説を読みに行くタグを知り、実際に9か月くらい(2019後半~2020年前半)かけて100作ほど読んだ感想。
Twitterで言われてる創作論についても言及したりしなかったり。

まずは概要

#RTした人の小説を読みに行く
で募集をかけ、応募いただいた方の小説を12万文字前後(いわゆる公募においての基本となるページ分量)を読む形。

対象はなろう、カクヨム、アルファポリスなどの、小説投稿サイトに投稿された小説。
冒頭のみ、5話まで、みたいな区切りはせず、最低でも話の区切りがつく第一部完辺りまでは読み、全体を通しての批評が出来る程度の読み込み量を全ての作品で確保した、つもり。

ではつらつらと感想

・まずは応募作品や応募者の傾向の話。
10万文字超え作品はWeb小説全体の5%!みたいのをどっかで見た気がするけど、応募作品はほぼ10万文字超えだった。5%とは一体。
ただ、100万文字はさすがにいなかった。多いのはやはり10万~20万程度か。30万~40万もちらほら。それ以上はかなり少ない、といったところ。

ジャンルは異世界転生が多め、次点で転生要素を含まないハイファンタジー、次にラブコメ、大きく離れてその他(SFや戦記モノなど)。

ハッシュタグに張り付いてる作者さんが多いのか、私以外の募集タグにも同じ人が応募しているのを見かけた。
一応私が募集したツイートへの応募者さんは逐次フォローしているのでTLに作者さんTwitterの呟きも流れてくる。
内容は宣伝のみの人もいれば、創作論を語る人もいる。
また、作者同士の横のつながりを欲している人(創作仲間というより、友達的な間柄)も見受けられた。
RPGツクールのコミュを覗いてた時も思ったけど、創作してる人ってピュアな人が多いんだなぁ、という印象。

#RT~タグ自体に物議をかもす人もいる。いた。
作者の宣伝目的に使用されているらしいので疑心暗鬼になっている人もいる模様。
(読まないがとりあえず募集しといてついでに読んで欲しいと自分の作品URLを張る人がいるとか)

まあ、作品、作者さんについてはこんな感じ。

・肝心の作品内容について

大体の作品はなんというか、「書きなれていない」といった印象。
公募で言えば、一次を通りそうだな、という作品は全体の1割未満。
その中でこれは面白い、と思った作品は2、3作品。
で、その面白い作品を書いている人は大体公募送って高次選考に残ってたり、なにかしらの賞を受賞済みだったりする人だった。
なので、ぶっちゃけて言えば大体の作品は面白くない。ぶっちゃけね。
処女作が面白くて書籍化! なんてのは夢のまた夢で宝くじに当たるより超絶低い確率の特別な才能と運を持ってないと無理。

面白くない要因は何か? という議題はTwitter上でもわりと論争を呼んでるけど、ほとんどのWEB小説に言えるのは、その人の「今までに小説を書いた分量が圧倒的に少ない」に起因していると思う。つまりは経験不足。

絵描きさんも文字書きさんも、それこそスポーツですら同じだけど、人間は実際にやらないとそのための能力が鍛えられない生物なので、とにかく経験を積むことがなによりの解決策になるとは思う。

だから、上達したいなら「序盤を盛り上げろ」「冒頭ポエムやめろ」「長文タイトル云々」「マイナージャンル云々」ではなく、もっとたくさん書いて欲しい。
あとTwitter上の創作論ツイートをRT数やいいね数で判断して鵜呑みしないように。それはただ単に交流が上手いコミュ充な人が適当にそれっぽいことを呟いているだけだ。

・辛口、甘口について
感想を希望する人の中に、辛口で!(要は厳しく批評してくれ、という意味合い)という人もいる。
甘口はその逆でとにかく褒めること。
幸いにして私は基本辛口人間なので、辛口希望に対しては特に苦労することなく出力することが出来た。
甘辛の割合は、辛口の方が若干多い程度。ただ、これは募集する人物の募集要項に依存するかも(要するにメタメタにボロカス言いますよ、みたいなのだと多分辛口希望は減るのでは、と)。

・交流は増えたか
増える人は増えている印象。私は基本が根暗なのでフォロワーは増えましたが交流は増えてません。
中には#RTした人~のハッシュタグで集まった人でコミュニティを形成し、そこから独自のタグに移行して「感想を書く人」みたいな立ち位置を確立している人もいた。

感想を書いたからといって仲良くなるわけでは当然なく、創作仲間が欲しいのなら普通にTwitter上でリプライして交流したほうが良いと思う。

・で、実際やってみた感想
感想考えるのマジつらたん。
いやホント辛い。苦痛。私はどうやら感想を伝えるのが苦手なタイプであることが分かった。
おかしいな……読書感想文は得意だったんだけどな……。いやあれは思い返せば読書感想ではなく、本を読んだ上でどのような感銘を受けたかを先生に伝えるコミュニケーション訓練の一環だったから微妙に違うのか。

12万文字前後なので大体読むのに2~3時間ぐらい、感想を考えるのに30分~1時間ほど。
もちろんぶっ通しで読めるほど集中力が続かないので休憩挟みながら。基本的に1作品辺り4~5時間ほどかかる。
「評価シート有料で作成します」みたいな人もTwitter上にちらほらいるけど、この作業をやるには対価が必要だという気持ちも分かる。

 

ということで、あとは蛇足のTwitterでよく話題になっていることについて。

冒頭を読めば分かる論

Twitterで話題になっているその1.

「1話を読めば面白いかどうか分かる」

これは正解半分、不正解半分のように思う。(1話というのは誇張している気がするけれど)
そもそも、大体の小説は素人さんが書いている。しかも、初めて書いた作品という人も多い。
当然セオリーも作法も知ったことではなく、自分が見聞きした小説なり映画なりをもとに、自分の頭の中にある物語を書いているにすぎない。
端的に言えば、そういった初心者さんが書いた小説は冒頭からいわゆる「怪しい箇所」がところどころ見受けられる。
例を挙げるとすると、以下な感じ。
・視点がブレている
・誰が喋っているのか分からない
・言い回しがおかしい
・表現がたどたどしい

高確率で上記のような点が見受けられ、小説として違和感を覚える作品は面白くないことが多い。
そしてその確率はWEB小説サイトにおいて圧倒的に多い。
逆に、冒頭からこなれている文章の場合は多かれ少なかれ、上記の面白くないと断じられる作品よりは読ませる内容になっていることが多い。

でも、冒頭からこなれている文章の作品が面白いかどうかというのは、実際のところ読んでみないと分からない。

だから、「1話を読めば面白いかどうか分かる」というのは、正確に言うならば、

「1話を読めばその作者さんの小説の練度が分かり、練度が低い作品は面白くないことが(経験上)分かる」

という感じだと思われる。

 

そもそもなろう(WEB小説サイト)で小説を公開するという行為について

「書籍化」という夢がある小説投稿サイト。
PV数やブックマーク数、タイトルやあらすじ、流行り廃りにテンプレ非テンプレ。
そこかしこで方法論やべき論、創作論が交わされているけれど、WEB小説サイトの本質はもっと素直なもので。

本来は公募や持ち込みを通して商業作品を出版する、あるいは印刷所や即売会への手続きを通して同人誌を販売する、といった、ある程度の敷居を乗り越えないと得られない「見知らぬ誰かから自分が創作した作品への感想を貰う」という行為を手軽に満たすためのサイトがWEB小説サイトである、と私は思う。

「感想を貰う」という創作のモチベーションとなる基本体験を得るにはWEB小説はうってつけであり、なろうやその他小説サイトの多くの基本理念はそうなっている、はず。

ただ、感想がもっと欲しい、読んだ人は一言でも感想残すべきだーみたいに愚痴っている人もいるけど、ド素人が書いた作品に1つでも感想がつけば御の字でしょう。何しても褒めてくれるのは幼稚園や保育園の先生だけですよ。

今のご時世、スコッパーさんやらなんやらがいるので、それなりに読めるものであれば1つは感想が付いている印象。
1つも感想が付いてないのは、まあ……、ドンマイとしか言えない

 

 

 

Posted by luini